日々彷徨
興味を引かれるものにふらふらと吸い寄せられながらウン十年。 過去と現在に出会った物を記録しようじゃないか。 海外ミステリの話が多くなると思うんだけど予断は許さない。
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ウオッチャーズ(ディーン・R・クーンツ)


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ウオッチャーズ


ディーン・R・クーンツ
松本剛史(訳)
文春文庫

WATCHERS
Dean R. Koontz

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スリラー、動物、犬

 人間並みの知能を持った犬と一度は世間に背を向けた男との魂のふれあい
 そして男は閉ざされた心を持つ女と知り合い、いつしか恋に落ちる
 しかし、そこに迫り来る冷酷無比な暗殺者の影
 そして想像を絶する怒りと怨念を力に変えて主人公達を追い詰める謎の怪物

こんな風にまとめてしまうと、なんとも安っぽい映画の台本にしか見えないが、作者のクーンツは巧みな人物描写とエピソードの連続技で、読者に考える暇を与えず次のページへと急がせる。やはり”スーパードッグ”アインシュタインの人格というかキャラクターの描き方が非常にうまい。ユーモラスさとシニカルを備えて、十分主人公を務める事ができるキャラクターを惜しげもなく犬に与えてしまうのが作者の偉いところだ。それこそが成功の鍵となっているのだが。そして対決の構図。似たような境遇で正反対の性格を植えつけられたアインシュタインと謎の怪物。そしてこれまた似たような境遇、経験を有するが、魂を救済された主人公と救いようの無い魂を持つ暗殺者。この二つの構図を幹にさまざまな登場人物、事件が次々と出現する。

で、私にとって稀代の名作だろうか。確かに面白い。どんどんと読み進めることができて上下2冊の分量も気にならない。印象的なシーンも満載である。しかし、どうも全編を流れる甘さとお涙頂戴的な雰囲気が鼻をついて、感情移入しにくい。あまりクローズアップされていないが、「謎の怪物」なるものがただの殺人機械ではなく、犬同様、その指向性はともかく、心を持った存在だということがクライマックスへ向けた一つのテーマとなっており、物語に厚みを与えてはいる。しかし一方で怪物と主人公の関係が、猟奇連続殺人物における自らを止められない犯人と、犯人を追い詰めるためにその心を覗こうとするあまり、犯人を理解してしまう刑事の構図を連想させ、なんとなく展開を予想してしまう。このテーマにしてもあまりフォーカスがあたっているわけではないので、中途半端な描写にとどまっており、怪物の位置付けをどう捉えるか戸惑ってしまう。

クーンツのヒット作である「ストレンジャーズ」でも感じたのだが、ラストに提示される未来像は一見ロマンチックなバラ色のもののように見えるが、実際には「おいおい、こんなことになって世界はこれからどうなってしまうんよ」と感じてしまう。

今回この文を書くにあたって Amazon を検索していたら、「ウォッチャーズ 第3生命体」というタイトルで映画化されていることを知った。どうもクーンツ先生もびっくりの怪作らしいので、怖いもの見たさで一度見てみたいものだ。

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