日々彷徨
興味を引かれるものにふらふらと吸い寄せられながらウン十年。 過去と現在に出会った物を記録しようじゃないか。 海外ミステリの話が多くなると思うんだけど予断は許さない。
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ゴーストフライト(ウイリアム・カッツ)
ゴースト・フライト―アドルフ・ヒトラーの帰還

ウイリアム・カッツ
鴻巣友季子(訳)
東京創元社
GHOSTFLIGHT
William Katz(1980)

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国際謀略、ネオナチ物


歴史にもしもは無いが、フィクションの世界にもしもはつき物である。もしもあの時こうなっていたら、もしもあの人が生きていたら、というところからスタートする物語は読者が容易にその作品の世界に入っていけるという点で好んで用いられる手法の一つである。

この作品は、アドルフヒトラーがもしも生きていたら、というのがメインのテーマである。このテーマ自体はかなり使い古されたテーマであるが、この作品ではヒトラーが一種の若がえり療法を受けており、戦後40年以上たっても当時と遜色ない若さを保っているという点と、もう一人実在の有名人、これも第2次世界大戦前夜に消息を絶ち、死亡したと思われていたアメリア・イアハートも同様の療法を受けて蘇るという点が独特である。

物語はアメリアが消息を絶ったときに搭乗していたプロペラ機・ロッキードエレクトラで1982年のロスアンジェルス空港に着陸するところから始まる。アメリア・イアハートは1928年に女性で初めて大西洋単独飛行を成し遂げた女性パイロットの草分けである。名前とこの程度の業績はある程度知られているが、私も実際にどういう人であったのかはよく知らなかった。彼女は1937年、南太平洋で行方不明となり、機体も遺体も発見されていない。

行方不明になった場所は当時日本が領有していた島が付近にあったことから、アメリアはスパイ活動を試みていて日本軍に撃墜された、という説もあるらしい。この物語ではこのモチーフを生かして、実際にアメリアがスパイであり、撃墜されたもののひそかにドイツ軍の捕虜になり、若返り療法の実験台になるという設定である。

なかなか荒唐無稽な設定であるが、話自体はネオナチの組織がドイツの政情不安に付け込んで1933年のヒトラー政権設立時さながらのテロを企てるのを、アメリカの情報機関エージェント(といっても局長である)が如何に阻止をするか、というスパイ活劇である。Xデーに向かってアメリカから始まってイスラエル、イタリアそしてドイツへと舞台を変えながら計画を進めるテロリスト、追跡するエージェントの緊迫した対決が描かれている。

この物語の最大の特徴はヒトラーとアメリアという接点の無い二人を蘇らせて対決させるというところにあるはずなのだが、惜しむらくはこの二人とも登場人物としては影が薄い。アメリアは物語のほぼ全般にわたって主人公と行動を共にするが、あまり重要な役割を果たさない。ヒトラーの方もほとんどいるというだけで最後になるまで台詞すらない。このあたり謎を匂わす描写であるが、強烈な個性を持った独裁者の活躍の場はあまり無く、不完全燃焼の印象が強い。作者としてはあまり二人の幽霊が活躍しすぎるとあまりにもリアリティがなくなってストーリがおざなりになってしまうと考えたのかもしれないが、もともとそういう設定から始まったのだから、もう少し活躍させてもよかったと思う。

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テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌

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