日々彷徨
興味を引かれるものにふらふらと吸い寄せられながらウン十年。 過去と現在に出会った物を記録しようじゃないか。 海外ミステリの話が多くなると思うんだけど予断は許さない。
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マッチポイント
「マッチポイント」
監督:ウディ・アレン
ジョナサン・リス・マイヤーズ 、スカーレット・ヨハンソン
Match Point(2005)
Woody Allen
公式サイト

昔は映画好きだったと思うのだが、最近は新作映画の情報収集はもっぱらテレビスポットCM、映画館やDVDで見るより飛行機で見る本数のほうが多いという体たらく。

そんなわけで7月頃に海外系航空会社の飛行機で見るともなく見始めた、元テニスプレイヤーが上流社会に入り込んでいき、二人の女性との関係を深めていくというイギリスを舞台にしたドラマがウッディ・アレンの映画だとは恥ずかしながら全く知らず、思いもしなかった。とはいえ、先入観を持たずに見ることが出来たのはラッキーかもしれない。男女の愛憎サスペンス劇場にしてはなかなか一筋縄ではいかない展開で、へー、と思ってしまい、最後まで十分楽しめたし、帰りの飛行機でもやっていたので、しっかり見てしまった。これがウッディ・アレンだと知っていたらもっとひねくれた展開を期待してしまい、素直に楽しめなかったかもしれない。

主人公のクリスはツアーにも参戦していたプロテニスプレイヤーであったが、ツアープロには見切りをつけて、テニスクラブのコーチとなる。そこでいいとこのお坊ちゃま・トムと知り合いになり、家族ぐるみの付き合いの中でトムの妹・クロエと恋仲になる。クロエの両親、特に父親に気に入られて、父親の経営する会社への就職を勧められるなど、将来は一気に開けてきた。そんな中、トムの家で開かれたパーティーで妖艶な女性・ノラと出会う。一瞬にして彼女の虜になったクリスは彼女に積極的にアプローチするが、実は彼女はお坊ちゃまの婚約者であった。

クリスはクロエとの関係を深める一方、ノラのことが頭から離れない。何かとアプローチを続け、ついには彼女がダメージを受けているときに関係を持つ。しかし、彼女はクリスとの関係を発展させることを拒み、そうこうしているうちにノラはトムに捨てられてしまい、クリスに連絡することもなく一人姿を消す。

やがてクリスはクロエと結婚、彼女の父親から新居も昇進も与えられ逆玉人生一直線であったが、ある日ノラに偶然再会してから彼女への思いを一挙に爆発させ、歯止めの利かない人生へと舵を切ってしまう。

こうして文章にしてみるとクリスは上流社会へ這い上がろうとする野心家のように見えるが、映画の中ではむしろ淡々と描かれている。もちろん彼にしてもそういう欲求はあるのだろうが、さしたる策を弄することもなく、物事が転がり勝手に彼を押しあげているという印象。しかしそんなクリスもノラに対してはまったく思慮分別の無い馬鹿野郎で、典型的なだめ男と化してしまう。まあ、妻となったクロエがどんどんとおばさん化していく中で、ノラに入れ込んでしまうのはわかるのだが。

MSN でのウッディ・アレンへのインタビューの中で、

人生はとても無秩序で恐ろしく、目的も意味もない


と語っている。これには非常に共感する。彼が本当に意図していることと、私の受け取り方が同じかどうかはわからないが。人生において降りかかるいろんなことに人はいろいろと意味を見出したくなるものだが、実際にはそこには神の意思も何もなく、単なる偶然である。  

僕たちは皆、自分の人生や運命をコントロールできると思いたいから、一生懸命努力すれば成功すると思っている。人はしょっちゅう「一生懸命努力して自分の運を呼び込むのだ」と言っている。確かに努力は大切だけど、それは“いかに人間は運に左右されているか“ということを認めるのが怖いんだよ。


言葉どおりに受け取ってしまえば、ともすれば「努力なんか無駄だ」などと虚無的にもなってしまいかねないが、そうではなく、「なんで私の身にこんな不幸なことばかり起こるのだろう」とか「このタイミングでこんなことが起こるなんて、偶然とは思えない、何か意味があるはず」などと考えがちであるが、実際には起こったことには何も意味なんか無いのである。

クリスが自己正当化の科白を吐くシーンが好きだ。傍から見ればずいぶん勝手なことをいっているのだが、まあ世間の人も僕も含めてみんな似たり寄ったりで、結構この程度のむちゃくちゃな論理をご立派な言葉でくるんでそれらしく話してる。特に心の中では。このシーンを妙なお涙頂戴にせずに淡々と語らせてしまうあたりは流石ということか。

ノラ役のスカーレット・ヨハンソンはひたすらながめるだけでも価値がある。2回目見たのはほとんど彼女を見るため。『ロスト・イン・トランスレーション』では微塵もなかったダイレクトなセクシーさ、妖艶さがたまらない。まあ、あの映画ではあのキャラクターでよかったわけで、あそこにノラで出てたら二人は一歩もホテルの部屋から出ず、東京の街を彷徨う事もなかっただろうからね。


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