日々彷徨
興味を引かれるものにふらふらと吸い寄せられながらウン十年。 過去と現在に出会った物を記録しようじゃないか。 海外ミステリの話が多くなると思うんだけど予断は許さない。
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ドリームガールズ
ドリームガールズ
監督:ビル・コンドン
ジェイミー・フォックス、ビヨンセ・ノウルズ、エディ・マーフィー、ジェニファー・ハドソン
Dream Girls(2006)
Bill Condon
公式サイト

女性3人グループがマネージャのカーティスによりスターになっていく過程を描く。カーティスは彼女たちとの出会いの時から欺瞞に満ちている。コーラスグループを探しているスター、ジェームズにあてがい、自らを売り込むのにちょうどいいと見るや、策を弄して彼女たちのマネージャにおさまる。うまくジェームズに取り入って彼の毒気を抜いて幅広く売り出そうとするが、彼が思うとおりに動かずうまくいかないと見るや、今度はコーラスグループである彼女たちをスターに仕上げようとする。そして今度も毒気を抜くために、リードボーカルを個性的で情熱に満ちたエフィーから、没個性的なかわいこちゃんであるディーナに変えてしまう。

よく人は「夢をかなえるためならなんでもする」という。しかし実際には、その「なんでも」の幅は実はそんなに広くない。この映画の登場人物も色々なものを捨て去ることを要求され、思い悩む。彼女たちもスターになることを夢見て、なんでもすると最初は考えていたはずだが、そんなに単純なものではないと気づく。唯一人マネージャのカーティスだけが、ぶれることなく夢に向かって突き進んでいく。あらゆるものを切り捨てながら。

彼のことを金と欲に目のくらんだクズ野郎と決め付け否定するのは簡単だ。だが常に大衆に受けることだけを考え続ける彼のやり方は全て間違っているのだろうか。確かに汚い手口や無法なこともしているが、彼の作り出す音楽に大衆は賞賛し、金を払い続ける。大衆に受け入れられ、楽しみを与えているのは間違いない。ラストシーンのあと、彼も少しは変化するのだろうか。

原作がミュージカルということで、いくつか重要なシーンでミュージカル仕立てになる。全編を通して音楽に満ち溢れているので、登場人物が歌いだしてもさして気にならない。カーティスに操られ、甘く心地よいメロディーを奏でるディーナと、彼に反発して心の叫びを歌にするジェームズ、エフィーの歌が次々と流れる。どちらも素晴らしい出来である。

エフィー役のジェニファー・ハドソンがアカデミー助演女優賞を獲得したのは納得がいかない。主演女優賞の間違いではないか。存在感も歌唱力も文句のつけようがない。

その分、ディーナ役のビヨンセ・ノウルズは損な役回りである。当然観客はエフィーに肩入れしてしまい、完全敵役であるカーティスのいい子ちゃんとして目立っても損、目立たなくても損という役どころ。そんな抑えつけられた鬱憤を晴らすがごとく熱唱する Listen は見せ場。それまでカーティスにより封印させられてきた個性と情熱を爆発させる。いずれにせよ、ステージでのシーンはどれも色気の満ちた素晴らしいものである。

ジェームズ役のエディ・マーフィー。依然としてハリウッドで主役を張れる大看板でありながら、今回は脇役として味のある演技と濃厚なステージを見せてくれる。前半、彼が出てくると本当に楽しい気分になる。昔ながらのお調子者のエディだ。それだけに切り捨てられる存在としての彼を見るのはエフィーを見る以上につらい。そんな難しい役どころを気負いなく演じている。

YouTubeで、原作となったミュージカルバージョンでジェニファー・ホリデーの歌を聴くことが出来る。さすがのジェニファー・ハドソンの歌もこちらにはかなわない。

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テーマ:ドリームガールズ - ジャンル:映画

マッチポイント
「マッチポイント」
監督:ウディ・アレン
ジョナサン・リス・マイヤーズ 、スカーレット・ヨハンソン
Match Point(2005)
Woody Allen
公式サイト

昔は映画好きだったと思うのだが、最近は新作映画の情報収集はもっぱらテレビスポットCM、映画館やDVDで見るより飛行機で見る本数のほうが多いという体たらく。

そんなわけで7月頃に海外系航空会社の飛行機で見るともなく見始めた、元テニスプレイヤーが上流社会に入り込んでいき、二人の女性との関係を深めていくというイギリスを舞台にしたドラマがウッディ・アレンの映画だとは恥ずかしながら全く知らず、思いもしなかった。とはいえ、先入観を持たずに見ることが出来たのはラッキーかもしれない。男女の愛憎サスペンス劇場にしてはなかなか一筋縄ではいかない展開で、へー、と思ってしまい、最後まで十分楽しめたし、帰りの飛行機でもやっていたので、しっかり見てしまった。これがウッディ・アレンだと知っていたらもっとひねくれた展開を期待してしまい、素直に楽しめなかったかもしれない。

主人公のクリスはツアーにも参戦していたプロテニスプレイヤーであったが、ツアープロには見切りをつけて、テニスクラブのコーチとなる。そこでいいとこのお坊ちゃま・トムと知り合いになり、家族ぐるみの付き合いの中でトムの妹・クロエと恋仲になる。クロエの両親、特に父親に気に入られて、父親の経営する会社への就職を勧められるなど、将来は一気に開けてきた。そんな中、トムの家で開かれたパーティーで妖艶な女性・ノラと出会う。一瞬にして彼女の虜になったクリスは彼女に積極的にアプローチするが、実は彼女はお坊ちゃまの婚約者であった。

クリスはクロエとの関係を深める一方、ノラのことが頭から離れない。何かとアプローチを続け、ついには彼女がダメージを受けているときに関係を持つ。しかし、彼女はクリスとの関係を発展させることを拒み、そうこうしているうちにノラはトムに捨てられてしまい、クリスに連絡することもなく一人姿を消す。

やがてクリスはクロエと結婚、彼女の父親から新居も昇進も与えられ逆玉人生一直線であったが、ある日ノラに偶然再会してから彼女への思いを一挙に爆発させ、歯止めの利かない人生へと舵を切ってしまう。

こうして文章にしてみるとクリスは上流社会へ這い上がろうとする野心家のように見えるが、映画の中ではむしろ淡々と描かれている。もちろん彼にしてもそういう欲求はあるのだろうが、さしたる策を弄することもなく、物事が転がり勝手に彼を押しあげているという印象。しかしそんなクリスもノラに対してはまったく思慮分別の無い馬鹿野郎で、典型的なだめ男と化してしまう。まあ、妻となったクロエがどんどんとおばさん化していく中で、ノラに入れ込んでしまうのはわかるのだが。

MSN でのウッディ・アレンへのインタビューの中で、

人生はとても無秩序で恐ろしく、目的も意味もない


と語っている。これには非常に共感する。彼が本当に意図していることと、私の受け取り方が同じかどうかはわからないが。人生において降りかかるいろんなことに人はいろいろと意味を見出したくなるものだが、実際にはそこには神の意思も何もなく、単なる偶然である。  

僕たちは皆、自分の人生や運命をコントロールできると思いたいから、一生懸命努力すれば成功すると思っている。人はしょっちゅう「一生懸命努力して自分の運を呼び込むのだ」と言っている。確かに努力は大切だけど、それは“いかに人間は運に左右されているか“ということを認めるのが怖いんだよ。


言葉どおりに受け取ってしまえば、ともすれば「努力なんか無駄だ」などと虚無的にもなってしまいかねないが、そうではなく、「なんで私の身にこんな不幸なことばかり起こるのだろう」とか「このタイミングでこんなことが起こるなんて、偶然とは思えない、何か意味があるはず」などと考えがちであるが、実際には起こったことには何も意味なんか無いのである。

クリスが自己正当化の科白を吐くシーンが好きだ。傍から見ればずいぶん勝手なことをいっているのだが、まあ世間の人も僕も含めてみんな似たり寄ったりで、結構この程度のむちゃくちゃな論理をご立派な言葉でくるんでそれらしく話してる。特に心の中では。このシーンを妙なお涙頂戴にせずに淡々と語らせてしまうあたりは流石ということか。

ノラ役のスカーレット・ヨハンソンはひたすらながめるだけでも価値がある。2回目見たのはほとんど彼女を見るため。『ロスト・イン・トランスレーション』では微塵もなかったダイレクトなセクシーさ、妖艶さがたまらない。まあ、あの映画ではあのキャラクターでよかったわけで、あそこにノラで出てたら二人は一歩もホテルの部屋から出ず、東京の街を彷徨う事もなかっただろうからね。


テーマ:映画 - ジャンル:映画

K-PAX 光の旅人
「K-PAX 光の旅人」
監督:イアン・ソフトリー
ケビン・スペイシー, ジェフ・ブリッジズ
K-PAX (2002)
Ian Softlay

ひったくりの犯人と間違えられて警察に連行された男・プロットは自らを1,000光年離れたベガ座にある惑星・K-PAXから光を超えてやってきたと主張する。身元を証明するものを何も持っていない彼は妄想症の患者として病院送りとなり、担当医師であるマークに対して自らのこと、K-PAXのことを淡々と語り始める。プロットの理路整然とした語り口に興味を覚えたマークは彼との対話を繰り返すうちに、彼が説明するK-PAXは実在の星であり、天文学の専門家でさえも知らない事実が含まれていたことを知る。果たして彼は天才的な妄想症の患者なのか、それとも本当にK-PAXからやってきたのか。謎解きに奔走するマークを尻目に、プロットは他の患者たちとの交流を深め、いつしか彼らの魂を解放していく。

まずこの映画のジャンルは何なのか。それ自体が一つの謎となっている。宇宙人との交流を描いたSFなのか。精神病患者の無垢な魂が描かれている感動物語なのか。妄想症の裏に隠された犯罪を暴くミステリなのか。それとも、、、

しかしこの映画のポイントはこういった謎解きではなく、プロットの語る言葉、周りの人に及ぼす影響、そして彼自身の心の動きである。プロットは常に静かな、そして暖かい口調でいろいろな人に語りかける。時には言いにくいこともストレートに。

謎解きの結果はどうあれ、余韻の残る、心に染み渡る映画である。

原作は邦訳されているが、続編もあり全部で3部作らしい。原作は読んでいないが、映画が原作どおりの内容であるとしたら是非読んでみたいと思いながらまだ読めていない。最初から3部作のつもりで書かれたものか、第1作がヒットしたから続編を書いたのかも興味があるので全部読んでみたいが、後2作については邦訳されていないので、原書で読むしかないようである。



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スパイ・ゲーム
「スパイ・ゲーム」
監督:トニー・スコット
ロバート・レッドフォード、ブラッド・ピット
Spy Game (2001)
Tony Scott

「Mr.& Mrs. Smith」を見たので、ブラッド・ピットつながりということで昔見たこの映画。といっても残念ながらこれはブラッド・ピッドの映画ではなく、完全にロバート・レッドフォードの映画。ブラッド・ピッドの派手なアクションや軽妙なやり取りを期待していると肩透かしを喰らう。一応やり手のスパイではあるのだが、中身は理想に燃える純粋な青年、って感じ。一方のロバート・レッドフォードは喰えない老獪なおやじスパイ。でも印象に残るのはこのおじさんなんだよねえ。

二人はスパイ・エージェントの先輩と後輩。というより親子関係に近い。ブラッド・ピッドがへまをやって捕まリ、監禁されてしまうが、組織は国家的利害関係がどうのこうのといういつもの理論で見殺しにすることに。ロバート・レッドフォードは組織を欺きながら、たった一人で秘密裏にブラッド・ピッドの救出を図る。といってもやっぱりロバート・レッドフォードのアクションシーンも無い。というか、ほとんど部屋からも出ない。様々な情報やコネを使って外部の人間を動かし、内部の人間を撹乱しながら事を進めていく。

この映画、好き嫌いがはっきり分かれるであろう。上述の通りスリルとサスペンスに富んだアクション映画を期待する向きにははっきり言ってうじうじした盛り上がりに欠ける映画である。一方でだましだまされの頭脳ゲームが好きな向きにはもってこいといえよう。

ロバート・レッドフォードはスパイという国家の裏の欲望を満たすための組織の一員でありながら、そのモチベーションは国のためでも政治家のためでもなく、もっぱら個人的なこだわりから生じている。正義のためといえないことも無いが、所詮はスパイ、国家の捨て駒であることは十分承知しているはず、見捨てられたからといっていちいち騒いでいては普通は仕事にならない。しかしながら国家の理論より自分の理論を優先し、上司、同僚に裏切られそうになったら早々に見限るさまは、ブライアン・フリーマントルチャーリー・マフィンシリーズに通じるものがあり、痛快である。古い考えを持った過去のスパイとして煙たがられているところもよく似ている。

ということで、チャーリー・マフィンが好きなあなた、ぜひ見てください。あそこまでしょぼくれては無いけどね。


テーマ:ミステリー・スパイ - ジャンル:映画

Mr. & Mrs. スミス
「Mr. & Mrs. スミス」
監督:ダグ・リーマン
ブラッド・ピット、アンジェリーナ・ジョリー
Mr. & Mrs. Smith
Doug Liman

ボーン・アイデンティティー」の監督であるダグ・リーマンのスパイアクションということで一応気にはしていたが、二大スターの競演ということであまり期待しないほうがいいかなあとも思っていたこの映画。

ストーリは公式サイトで軽く紹介されているが、もうほとんどこれがすべてという感じ。ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーが出るんだぜ、ストーリーなんかどうでもいいじゃん、むしろ無いほうがマシ、か?

とにかく二人は凄腕の殺し屋なのだが、お互いそのことは内緒にして暮らしている。殺し屋の生活とはうって変わった家庭での平凡な日常生活。そら倦怠期にもなるわな、とかいってたある日、二人はたまたま同じターゲットを始末することになり、相手の正体もわからないまま対決する羽目に陥り、結局ターゲットを逃がしてしまう。このままでは失敗者の烙印を押されて将来もままならぬ二人は互いに手がかりを追って近づき、やがて壮大な夫婦喧嘩に突入する。

ブラッド・ピットって、「オーシャンズ11」に代表される、チンピラの優男みたいだが実は頭が切れる、みたいなイメージが強いが、流石に「トゥームレイダー」のアンジェリーナお姉さんと対決するとあっては、ちょいと鍛えとかないとやばいということで、結構アクションシーンに気合が入っている。でもやっぱりアクションではアンジェリーナに一日の長か。なんかこう華やかというか、見てて心地よい。当然二人とも殺し屋なので武器のオンパレード、銃弾の雨嵐。カーチェイスもあってアクション映画としては見所満載である。また芸達者な二人だけあって台詞回しやちょっとしたおとぼけも随所にあってお洒落な仕上がりである。こういうあたりはブラッド・ピットは実にいいねえ。

しかしこの映画、あらゆる意味でこの二人を見るためだけのもの。他の登場人物はほとんどいてもいなくてもいいような役割しかもらえていないし、当然印象にも残らない。ひたすら二人がいちゃいちゃしたり殴りあったり撃ちあったりしているのを見るのだ。でも結局みんなこの二人を見に来るんだろうからそれでいいのだ。名前で人を呼べて、十分満足させるというのが大スターというものであれば、まさにこの映画は二大スター競演によるすばらしい映画といえよう。

二人に襲い掛かる絶体絶命の修羅場。なんとなく「俺たちに明日はない」のボニーとクライドを彷彿とさせる雰囲気で「おー、このまま死んでいくんだなあ」とか思ったけどそんなことはありえないわな。残念。



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